エリートなあなた
試作部のバタバタにかまけて後悔したこと、それこそがお肌の荒れと乾燥である。
学生の時はオールで遊び回ったり、メイクオフせずに寝ても大丈夫だったのに。
悲しいことに今は、徹夜が続くとすぐにお肌どころか髪までパサパサになってしまう。
「…また落ち着いたら戻りますもん」
「今はすぐ回復しても、多分アラサーの仲間入りしたら大変だな」
「松岡さんセクハラ!」
「いやいや、ソコが真帆ちゃんのセクハラ認定基準?」
「気にしてるからですよ…!」
そっぽを向くと頭を撫でながら、「これに怒んないのに」とけたけた笑っている。
だけれど不安のウエイトが美容へ少し傾けるようになった理由。
それはきっと修平さんに対して、遠慮や気持ちを押し込めなくなったからだろう。
“余計な心配をさせたくない”と、お互いが思うばかりに関係を拗れさせていたから。