エリートなあなた
再会の余波
言葉の力は本当にある――まして大好きな人の言葉だと、なおさら心の奥に響いて新たな力になると教わった。
もちろん社内では、仕事外の話をする機会はまったくない。いわば近くて届かない距離を保っている。
――何より、課長の場合はやっぱりモテる。どうやら同じ部署の矢崎さんも、いまだ思いを寄せているとか。
そんな彼女と話す姿に目を伏せたり、聞こえてくる楽しそうな声には聞こえないフリをしたり、まあ大変といえば大変だけれど。
確かに寂しいと思わなかった日はない、それでも着実に私の中で意識が変わっていたのかもしれない。
ただの外聞やその場限りの光景で心を奪われてしまう暇を作るより。
ただ先を見てひたすら、前進しなきゃいけないと考えるようになれたから。
…そう知れたことでほんの少し強くなれたかな、と今の自分に小さく笑ってしまう。
「落ち着いたらまた4人で飲みに行っちゃう?
またすっぽん料理でも良いけどぉ、もう精力剤はいらないでしょ?」
「…それこそセクハラですけど、」
「えー、どのあたりが?」
傍らでニヤリと口角を上げるその表情が、そんな私を容赦なく追い詰めてくる。