エリートなあなた


そのため彼を見る目とテーブル置いていた手に必然と力がこもってしまう。



「ええ、辰見からは了承の答えを出すように言われてましたし、同じく部内も異論ありませんから」


すると破顔して松岡さんと私を交互に見た――彼の口からこの2ヶ月、ずっと欲しかった答えが返ってきた。



じわりじわり、心にやって来る喜びが笑みを作りかけるけれど、キュッとそれを閉じてしまう。



最後に今後のスケジュール確認と、量産部へ移行するための詰めの打合せをした。



これで本当に私たちの担当するものはすべて終わり。立ち上がった2人に慌てて続く。



「では、担当ではなく申し訳ありませんが、…大変感謝しております。

こちらの意向を汲んだ製品を開発下さって、本当にありがとうございました」


「こちらこそ勉強になりました、ありがとうございます」


最後にテーブルを挟んで握手を交わした2人。その手が離れると向けられる2つの視線。



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