エリートなあなた


メガネの奥の瞳が鋭い人とスマイルキラーに挟まれ、視線を泳がせてばかりいる。



立つ瀬がないのはまさにこのこと。どちらへ焦点を合わせても、居心地の悪さはピカイチだ。



「佐々木くんでいいかな?」


「あ、はい!もちろんです」


するとそんな私は置き去りに、フレンドリーな松岡さんは剛史へ簡単に話を振った。



「単刀直入に聞くけど――もしかしなくても、真帆ちゃんの元カレ?」


外角は狙うことなくあっさり高速ストレートで尋ねるのはある意味、猛者だと思う。


「そーなんですよ~。

大学4年のトキにたったの2ヶ月で振られましたけど~!

まぁ真帆は、理工学部のマドンナだったから仕方ないかなぁって泣き寝入り?」


それを強力なミットで受け止める方も受け止める方――さすが元野球部のエースだ。



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