エリートなあなた
「せっかく会えたのに、このままバイバイは勿体ないじゃん?
積もる話をしながら飲もうよって言ったのになぁ。…さすがのマドンナ」
「ああー、真帆ちゃんって妙なトコで譲らないんだよねぇ。
それがマドンナのゆえんとかだったりする?」
「あ、分かって下さいますか!?」
“本当にマイペースだよな”と、謂われのない非難を向けられて溜め息を吐く。
エントランスを出てすぐの隅で話しているとはいえ、やっぱり目立っているらしい。
対峙する2人の相手にグッタリしているところに、第三者の不思議な視線も辛いものがある。
「…また皆、誘ってからでも」
「んなの、この仕事してて時間が合うわけないだろ?」
「数か月先なら大丈夫でしょ」
「俺はシンプルに今日、飲みたいの!」
「…、」
こういう時、剛史は研究者らしく粘りを見せる。どこまでいっても譲らないのだ。