エリートなあなた
ふと回顧していた時、テーブル上へ置いていた携帯が規則的に震え始めた。
ディスプレイにはかの人の名前が出ていて、すぐに通話ボタンを押した。
「すぐ行くから」の言葉に頷いた私は、マグカップを返却口へ戻してカフェをあとに。
一段と寒さの増していた外で空を仰ぐと、すっかり黒で塗りつぶされていた。
「真帆!」の声が聞こえた方へ視線を戻せば、こちらへ駆けて来る剛史を捉えた。
「わりぃ!待っただろ!?」
首を振って答えると、冷静沈着に見えるけど明るくいつも輪の中心にいた剛史が笑う。
やっぱり笑い方とか変わっていないな、と思わずクスッと笑ってしまう。