エリートなあなた
半分ほど残ったビールで喉を潤すその目は、…私が別れを告げた日に見たものと同じだ。
チクンチクン、と今さらすぎる罪悪感が襲う。そのため無言で彼を見つめていると。
「『…私のせいだよ』って――暗に課長のぎっくり腰が自分のせいだって昼に言われてさぁ、…さすがにへこんだ」
そこでハッと気づいた――剛史が強引に私を誘ったのは、純粋に飲んですっきりしたかったことに。
「その人、は?」
「あーフロア通ったらいなかったし、速攻で家に行ったのかもな…。
散々相談受けといて、今さら簡単に言えねーんだよ…。
――その男は常習犯だからいい加減、見切りつけて俺にしろ!とはな、」
ビールをわずかに残してジョッキを置くと、今度はガシガシ頭をかいている彼。
フッた女の立場でなんと言うべきか――それだけで思案に明け暮れてしまいそうだ。