エリートなあなた


粘り強い剛史が追いかけて来たり、その後連絡を寄越さなかったくらいに傷つけたのだ。



「今さらだけど、…ありがとう」


「何に?」そう口にして、ぽかんと口を空けている彼に少し笑った。



「だって、…別れても守ってくれたじゃない?

“俺がついてんのに、オマエらが傷口に塩ぬり込むんじゃねぇよ!”って、ウワサしてた子たちに茶化して…」


「そんなこともあったかー。…ま、男が女を守るのは当然っしょ!」


私の話に「ああ!」と思い出しように頷いた彼。そしてニカッと歯を見せて笑う。



同じ学部ゆえ顔を合わせるのは気まずかったし、人気者をあっさりフッた性悪女とか、周囲に色々とあることないことを囁かれた。



覚悟してのお別れだったものの、尾ひれがついて増していくデタラメ話に何度心が折れかけただろうか。



それをキッカケにウワサを怖がるようになった私より、…やっぱり剛史は何倍も大人でやっぱり優しかった。



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