エリートなあなた
もちろんすぐ近くで捉えたのは、間違えようのない声色の修平さんだ――
さっき“迎えに来て”とねだった電話を終えてから、30分ほど経過している現在。
車で20分ほどかかる距離も、オフィスをすぐに出て来てくれなければ今の到着は難しい。
ベージュのコートを片手に持ち、スーツ姿で現れた彼をチラチラ見る店内の女性たち。
クールな表情からニコリと口元を緩ませた、その表情はやはり綺麗だと感心する。
しかしながら、ダークグレイの眼差しが見据えているのは私の奥に座る剛史。
「真帆、…知り合い?」そこで聞こえた向かいからの声で、ハッとして立ち上がる私。