エリートなあなた
何事もなかったように笑うから気のせいだろう、と片づけて。私も精神的に消耗していたためか、いつも以上に食欲が進んでぱくぱく食べてしまう。
――それを後悔するのは、本当にすぐ先のことだった。
ダイニングテーブルに並べたたくさんの料理がなくなって暫くすると、
「うぅ…、苦しい、」
お腹あたりを押さえつつ、私はリビングのL字型ソファへ移ってゴロリと寝転んだ。
「そりゃあ、…あれだけ食べれば、な」
お酒の小ボトルとグラスを手に、隣へ腰を下ろした修平さんもさすがに苦笑い。
「…残さず食べる主義だから後悔しない、けど」
「それは良い心がけ」
ただし、尤もらしいコトを言いながら本当は、食に逃げたのかもしれない。
寝ながら彼の顔を見ると今度は優しく笑ってくれる。そしてガラステーブルへ手に持っていたものを置き、「おいで」と自分の膝の上を叩く。
まるで猫のように従ってしまう私。…やっぱり、デザートなんかより遥かに甘い人だ。