エリートなあなた
初めての・・・
乳白色の入浴剤が入れられていた浴槽へ浸かると、身体がぽかぽかあたたまっていく。
――やっぱり色々考えていたらダメだ。松岡さんの言った、シンプルに生きなきゃ。
あれこれと未来を考えているよりも、修平さんとのこの一瞬を大切にしたい。
私にとっても彼にとっても。お互いが必要とする限り、…ずっと隣で笑っていたいから。
修平さんを愛している…、彼のことをひとりの人として、会社の上司として尊敬しているから。
近づけるようにもっと、私も目の前のことを頑張りたいと思う。…今はそれでいい――
* * *
「…遅い、」
「えっ、そう…?」
あたたかいお湯にのんびり浸かって、たった今バスルームから出てきた私。
リビングへタオルを肩にかけて戻ったところ、冒頭のフレーズを耳にする。
「待ちくたびれた」
そう口を尖らせ重ねた彼は、ソファから長い足を投げ出して寝転んでいた。
スウェット姿と洗い晒しの無造作ヘアはナチュラルそのもの。
仕事中の彼には寸分の隙も見られないけど、プライベートの彼のラフさがくすぐったい。