エリートなあなた
すると今度は交代と言わんばかりに、私の膝へ頭を乗せてきた修平さん。
くすくす笑いながらその髪に触れてみると、見た目以上にサラサラだから羨ましい。
今までの元カレの髪に触れたい、と思ったことがなかった私がこうしているとは不思議。
ううん、…彼だからずっと触っていたいとさえ感じる――すべてが愛しいと思うから。
「ねえ、修平さん?」
「んー?」と、どこか眠たそうに私の手を受け入れながら声が返ってきた。
「過去に私、…スイーツバイキングでケーキ20個完食しましたよ」
「…は?」
そこで何だと言わんばかりの声とともに、ダークグレイの瞳が私を捉えた。
「だって、昨日剛史に言ってたじゃない?――『あとは真帆に聞く』って。
親友が瑞穂って言うんですけどね?彼女がよく食べるから、自分は大食いっていうより、ただの食いしん坊だと思っていたんですよねぇ。
あ、もちろんこれは、瑞穂と母しか知らない武勇伝です。あとは修平さんだけ、」
「――それは貴重な情報、サンキュ」
ふふっと笑うと、光を宿したようにダークグレイの眼差しで微笑み返してくれる。