エリートなあなた
「あー、真帆って本当に、見てて飽きない」
「いつまで笑って…、笑わないで!」
すでに沁みついているクセを直すほど、苦労するものはないというのに。
話す度に一瞬、止まって直している私を楽しそうに見て缶ビールを飲む修平さん。
「そうそう、その調子」とか「自然な感じ」と、採点してくるから強ち冗談ではないけれど。
さすがに喉が渇いて冷蔵庫へ飲み物を取りに向かった。ミネラルウォーターを取り出し、コップへ注いで飲んでいると彼もやって来た。
ビールはもう明日のために控えると言って、ノン・アルコールビールの缶を開けて飲んだ。
「本当によく飲み、…飲むよね?」
「そう?」と、しれっとした顔でそのグラスを傾けた。
「私も飲み会の時にね、よく女子では飲む方だと思ってた。…でも、次元が違う」
「今日は飲まないの?ワインあるじゃん」
彼の指さした冷蔵庫内には、買い物の時に買っておいたワインが冷やしてある。
「…今日はいいで、…いいの!――寝ないように、」
そこで口をつぐんだ。さすがにこのあとの言葉はガッつく女子そのものだから。