エリートなあなた
外気に晒した身体は筋肉質でガッシリしているのに、私に触れる手はものすごく優しい。
幸せって何度言っていたのだろう?…その度にキスを落としてくれる彼をただ求めた。
心の底から湧き上がる欲望のままに、何度も受け入れては満たされていたもの…。
「――ねえ真帆、明日4時には出たいんだけど大丈夫か?」
「ええ!?う、…修平さん起こしてくれる?」
「もちろん」
頷きながら、手にしていたミネラルウォーターをサイドテーブルへ置いてくれる彼。
風邪を引かないように、とさっきのルームウェアをまとって再びベッドへ潜りこむ私。
彼もまたラグランTシャツを着たあとベッドへ入ってくる。乱れ気味のシーツを直してから、ギュッと傍らの私を引き寄せてくれた。
素肌同士とはまた違ったぬくもりが、今の心と体にはひどく優しい…。
「ちなみに、どこへ行くの?」
「んー、…どこだろ?」
「はぐらかすのー?」
「それを言うなら、ナイショだろ」
疑りの目を向けたところ、コツンとノックするようにおでこに触れる彼の手。
くすくす笑っていると、「はいはい、もう寝ようね」とシーツをまた被せられた。
「明日は一緒にいられるから、おやすみ」
優しい眼差しにもちろん私も、「お休みなさい」と笑みを零していたの。
――このフレーズに疑問を抱かないほど、幸せに満たされていたから…。