エリートなあなた


「もっと名古屋でのこと教えて!」と、ここぞとばかりに追求してみたところ。


「…そのうちね」


「えー…、」


一瞬の間を開けて、綺麗に微笑んだ彼の表情ですべて有耶無耶にされてしまった。



知らないコトは山ほどあって、教えてくれたことももっともっと知りたいのに。



そんな不満で口を尖らせていると、「――でも、俺は真帆のこと知ってるよ」



「あ、昨日のケーキ大食い記録でしょう?」


真顔でこちらを見据えている修平さんに、アハハと笑って軽快に返したのに。



「フッ、…違うよ――右胸のホクロの位置とか感じやすい所とか?

その他もろもろ、…言おうか?」


「い、言わなくって良いからぁああ!」


「え?教えてって言ったのに?」


想定外の妖しげな視線を投げかけられ、条件反射の如く顔は一気に熱くなるばかり。



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