エリートなあなた
「あ、お待たせしま、…です」
「ハハ、まだ慣れないようで」
「今のは聞かなかったことにしてね」
ドキドキしながら話したためか、やっぱり敬語が上手く抜け切らなかった。
姿勢を元に戻す姿はジャケットにリブタートル、そしてブラックデニム。
彼の性格を表すようにムダがなく、シンプルで綺麗めのスタイルをしている。
すると片手にキーを持ちながら、手を差し出して来た彼がニコリと笑った。
「可愛い真帆ちゃん、さて行きますか?」
「それだと感情がこもってないよ?」
「ひどいなー」
柔らかい表情で茶化されると、やっぱり何も言えなくなるから手を出してしまう。
部屋を出ると車が駐車してあるという、タワーマンションの地下駐車場へ向かった。
その道すがらも2人で「似合ってる、」なんて言い合う姿はまさにバカップルだけれど、たまにはこんな時に身を委ねていたい。