エリートなあなた
「――はい。俺の情報仕出しはこれにて終了!」
「えええ!まだ大学の話は!?」
いつしかBGMさえOFFにして、プチ情報に夢中になっていたのに。
車がマンションをスタートしてから約6時間目にあっけなくエンドを迎えた。
「だって真帆、外見たの?」
「…、」
その問いかけに否定しか出来なかった私は、サービスエリアで買いこんでいたお茶のペットボトルを飲んで答えず。
流れる景色を見るのも好きだけど、大事なチャンスは逃したくない――彼を間近で見られる時こそ本当に少ないもの。
「――もう着くよ。ここがお待ちかねの答え」
「え…、ここ、名古屋の…?」
彼がさす方角に見えた、球体形がとても印象的な建物に目を白黒させた。
「おっ、正解!見ただけで分かったんだ?
まさかの方向音痴が判明した真帆のことだし、すこーし泣くかと思ったのになぁ」
「もぉー!そんなことで泣かないわよ…!
どこまでコドモ扱いされるのよ!?」
視線を戻すと松岡さんほど口角を上げ、ニヤリと笑っている横顔に牽制した。