エリートなあなた


もはや道中何度目か分からないほどの、そっぽを向いて車外へ視線を移した瞬間――



「ハハッ、俺の中では真帆ちゃんは一生かもね」


「っ、」


言葉を詰まらせた私が無言となったため、「どうした?」と声が重ねられた。


「あ、ううん!」


そこで顔を向けて頭を振って見せた。…多分、彼はサラッと発しただけだろう。



でも、私には聞き流せなくて。“一生”の言葉に鼓動の高鳴りは止まりそうにない。



海沿いの駐車場へ誘導に従って駐車すると、そこでようやくエンジン音が止まった。



「よし、到着!」


「お疲れ様でした」


「いやいや、まだ到着しただけだよ」


「あっ、…そうだね」


彼の冷静なツッコミにつられて笑うと、何気ないことでも楽しくて仕方ない。



助手席のドアを開けて車外へ出たところで、こちらへ回って来てくれた修平さん。



その扉を代わりに閉めると私の手をギュッと握ってくれる。



ハーフのせいだろうか?いや、海外でも紳士的な人にはよく出くわすけれども。



万人に優しいのも魅力のひとつとの結論に落ち着いた。…やっぱり妬いちゃうけどね。



そしてインテリジェントキーでロックをかければ、車が音を立ててライトが一瞬光った。



「行こうか?」


「うん…!」


彼との初めてのデートにわくわく感が止まらず、手を握る力も強まってしまう。



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