エリートなあなた
修平さんが、私を連れて来てくれた場所――それは名古屋で有名な水族館。
手を繋いだまま2人で潮風を受けながら、水族館入場口へと歩いていく。
休日でさらに賑わうチケット販売口は、ファミリーやカップル客でごった返していた。
「わぁ、…綺麗!」
「…だな」
一歩入った瞬間から感嘆の声が漏れるほど、目の前に広がる世界に一瞬で魅了された。
館内にゆっくり足を進めて行くと、日常を忘れさせてくれる素敵なブルーで埋め尽くされている。
「すごい…、」
海と海洋生物たちの自然な姿を保った水槽や展示には、ただ感動の声しか出なくて。
「修平さん、みてみてアレ凄いっ!」
「分かった分かった」
指をさしてみては忙しなく移動しては、次から次へとスペースで騒いでみたり。
久々の水族館にテンションは上昇しっ放しで、大好きな人と一緒だとなおさらだった。
エスコートされていたはずの立場は逆転。新たな水槽を目指して彼を引っ張っていた。
そんな私に彼はされるがまま、ずっと笑っていた。…繋いだ手は離れることなく。