エリートなあなた
冷たくも爽やかな風に後ろ髪を引かれるようにして、私たちは熱田神宮をあとにした。
名古屋市を訪れたことで、彼の歴史を覗かせて貰えたうえ、その切れ端には私まで加えてくれた。
だから、それがまた私の強みになる――今はナイショな関係だとしても、…いつかきっと公言出来る日が来るはず。
これからも修平さんが好きだと言ってくれるように。そしていつか周りからも認められる人になりたい。
今の瞬間から気も新たな始まりだ。何気ない日々こそ、大切に生きていこう――
戒めるように砂利道をしっかり歩んでいた時、手を繋いでいた彼が手を止めた。
「…真帆、」
「どうしたの?」
力なく呼ぶ彼のダークグレイの瞳を窺う瞬間までは、何も想像もしていなかった。
まさか、愛しい彼からの宣告にひどく打ちのめされるとは―――