エリートなあなた
成長が齎した別離
時間帯から北風が強くなってきたため、駐車場に停めてあった車へと急いで戻った。
その間ずっと無言を貫く修平さんに不安に駆られながら、ただついて行くしかなくて。
厳しい面持ちの彼に、何も聞けないジレンマから心臓の鼓動だけが動きを速めていた。
乗り込んだ車も冷え冷えした空気が包み、車内スイッチを押してエンジンをかけた彼。
するとエアコンの温風が次第に立ち込め、あたたかさで徐々に心が落ち着いていく…。
「――真帆」
「は、はいっ!」
運転席から突如、低音ボイスでの呼びかけにビクッと身体を強ばらせた。
「ごめん、いきなり驚かせた?」
大きな手が頭をひと撫でしてくれ、その手のあたたかさにゆっくり頭を振った。