エリートなあなた
好きな彼のスーツ姿を目にしっかりと焼きつけたい――その願いを見事に叶えてくれた。
試作部のメンバー全員が、自席から部屋の中央にいる課長へと目を向けている状況。
その幾つもの視線をもろともせず、クールな面持ちでオーラを発する姿にドキドキするのもこれが最後だ…。
「えー…誠に恐縮ながら、本社で研鑽を積ませて頂くこととなりました。
皆さんには大変お世話になったこと、心より感謝しています。
いつになるかはお答えできませんが、…出来る限り早く帰国した際は、また皆さんと仕事出来ることを楽しみにしています。
今後も試作部の発展を願いつつ、私からの挨拶と代えさせて頂きます。
本当にありがとうございました!」
一礼する修平さんには、パチパチと大きな拍手が鳴り止まず、
「黒岩さん、頑張ってくださいね!」
「本当にありがとうございました!」
賛辞の言葉も四方から飛び交っては、彼にエールを送っている。