エリートなあなた


「ありがとう」と破顔した彼の表情は、仕事モードながら優しさが滲み出ていた。



仕事にはシビアで有名な修平さんだけれど、それは皆のためを思ってのもの。



個々の能力向上によって、その人の仕事の幅も広がる。しいては会社の成長の起爆剤となりうるからだ。



そうして日々後輩育成に努めていた、彼の秘めたる思いはちゃんと伝わっていた。



試作部員に囲まれる姿を見ていると、いかに彼が慕われているのか伝わって来るもの…。



「…真帆ちゃん大丈夫?」


「松岡さん、」


「これから、寂しくなるなぁ」


「そう、ですね…」


部下から大きな花束を受け取って微笑んだ彼を、私の隣で黙って見ている松岡さん。



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