エリートなあなた


ダークグレイの眼差しにスーツ姿で奔走する姿を、明日から見られなくなると思うと。



本音を言ってしまえば、…不安で不安で堪らない。大丈夫なのかも分からないけれど。




「…すごく、すごく寂しいんですけど、こうして見てると彼をすごく誇りに思います。

それに、…大丈夫って言ってくれるから、私も負けないようにこれから頑張ります!」


離せなかった視線をようやく松岡さんへと移し、口元を緩ませて確かに伝えた。



どんなに怖がっていても明日はすぐに来てしまうから、未来を考えてもキリがないと。



「そっかぁー、真帆ちゃん偉いじゃんー。

ていうか試作部ってね、黒岩さんが入社してからまた成長したんだってぇ。

黒岩さんが不在中に失速したなんて失礼なこと言われないようにしますかね」


「はい!また頑張りましょうね」



私には上昇志向の仕事仲間ばかり。大切な家族や瑞穂だって支えてくれるから大丈夫。



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