エリートなあなた
「…あとが怖いから聞かない!」
「松岡はどうやら実の妹みたいに可愛いがってるそうだし、諦めた方がいいぞ?」
夕食を開始して30分ほど経った現在、頂いた大吟醸がよほど美味しいのかボトルの中身すでに残りわずかである。
今日は修平さんにとって日本での最後の夕食のため、張りきった私はどれがメインか分からないほど作っていた。
日本酒好きな彼に合わせて和食メインに並べた品々は、とても2人で食べきれないほどの量である。
もちろん彼との共通点第1号の八丁味噌のお味噌汁も忘れずに。
それらを囲んで向かい合っての楽しい食事タイム――これは今日で暫くお預けとなる。
「まぁ…掴みどころのないヤツだけど、頼りにはなるから大丈夫」
「うん、…スマイルキラーさんだもん」と返せば、2人で笑い合った。
日々笑いを提供してくれる松岡さんは私たちを結んでくれた方で、一番に心配して下さったから感謝の気持ちで一杯。…とは、本人に口が裂けても言えないけれど。