エリートなあなた
お弁当を買って食べた新幹線を降りて、まずは東京へ無事到着。さらにSJ社のオフィスへタクシーで戻った頃には14時をすぎていた。
2人きりのエレベーター内でいきなり頭を下げられ、目を丸くしたところ、
「吉川さん、本当にありがとうございました!
なんか今日は不謹慎ですけど、…美人エリート係長の片鱗見たっていうか」
「…はいはい、コーヒー飲みたかったらひとりでどうぞ」
「お世辞なんかじゃないですって!
試作部で係長なんてエリートじゃないっすか!社内で知らない人がいないくらいだし!」
「やだ、それって悪名高いんでしょ?」
「いや、エリートのどこがっ!?」
スルーしていたものの、鼻息荒く力説してくれる後輩くんに笑ってしまった。
「あのね?――エリートの代名詞は違う人のものよ」
「違う人って…、松岡さんですか?」
「んー…、その松岡さんでも敵わないと思う人がいるのよね」
松岡さんエリート説を否定するのも失礼だけれど、当の松岡さんだって同意してくれるだろう。