エリートなあなた
会いたい会いたい、と願ってしまったところへ急に目の前に現れたから。
――これは都合の良い、ただの夢…なのかと。
すると、おもむろに席を立った松岡さんが入口付近で佇んでいる私の元へやって来た。
涼しげな目の彼と目が合ったと同時、ポンポンと肩へ優しい力が下りてきた。
「よく、頑張った」
「っ、うー…っ」
たった一言の重みがようやく現実なのだと認めてくれて、途端に涙がポロポロ零れ落ちた。
素直に喜んでいいのだと教えられた瞬間――堰を切ったように、あんなに頑なだった涙腺も崩壊してしまった。