エリートなあなた
「寂しい思いさせてゴメン。…よく頑張ったな」
「…ひっ…、うーっ」
あたたかくて広い胸の中、ただ頭を振って修平さんの言葉に応えることで精一杯。
何も言葉なんて出て来なくて、大好きな声をずっと聞いていたくて、彼の体温と香りに縋りつくだけで何もいらない。
ただ一心に彼の存在を求めるだけで、この腕に一体どれだけ抱き締めて欲しかったのか。
彼のすべてをどれほど私は欲していたのか、…やっと会えた今ならつよく分かる。
触れるだけで想いが駆け巡り、繋がることで想いはさらに止まらないから――
「――コレ、つけてくれたんだ?」
右手に触れた彼が引き上げた薬指をひと撫でする。それだけで甘美な仕草に思えるから、鼓動はまたうるさくなった。