エリートなあなた


「もちろん、…私の原動力だったから」


「フッ、甘えん坊」


手を離した彼の広くて厚い胸へそっと身を寄せると、彼も抱き寄せてくれる腕があたたかい。



ちなみに試作部での再会後は、松岡さんの計らいで早退させて頂いた私。



今は修平さんのマンションで戻って来て、2人ベッドで寝転んでいるところだ。



離れていた分を埋めるかのように激しく、長くお互いを求めて応えあった時間は何にも代えがたい。



「2人ともイジワルだよ」


「フッ…、否定は出来ない」


低音ボイスが鼓膜を揺らすだけで、身体の芯からまた体温が上がっていくようだ。



どうやら修平さんはサプライズで再会しようと、あえて帰国日を伝えなかったみたい。



日本へ着いてすぐに会社へ来たものの、イレギュラーな事態で私は名古屋へ行っていた最中。



それなら…と松岡さんが呼び出し恐怖までプラスする計画を企てたらしい。――どちらにしても私は、何かの驚きと対面する運命だったと。



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