エリートなあなた
静かに意見を聞いていた課長は、不安を隠せずにいる私に微笑んでくれた。
それがさっきとはまた違う表情で、なおさら優しく見えるのは不意打ちだよ…。
すると先ほど開いたばかりのブラインドを、何故かまた閉じてしまう課長。
さらに狼狽する私をよそに、光沢あるシルバーのネクタイへ手を掛けた。
それを緩ませながら一息つき、どことなくリラックスした姿にはドギマギ。
ど…、どうしたんだろう?――声に出来ない思いが駆けめぐる。
完璧スタイルを崩さない課長のラフな一面。ドキドキと鳴る鼓動がまた緊張を加速する。
――こんな姿を見せる理由って、…散々、私の失態を見ているからだよね。