エリートなあなた
ちなみに瑞穂の仕事――それは国立機関の研究員。少子化の警鐘鳴り止まない日本で、いずれ生活に欠かせなくなるであろうロボットを開発しているとか。
政府への研究発表や地方の施設へ赴いたり、と実際は想像以上にタイトらしいけれど…。
「ただ男性側にしても瑞穂が自分より賢い、…っていうジレンマがあるのかもね?」
絶品のパンナコッタを食べ終え、食後のコーヒーを飲みながら向かいの席の彼女を見た。
大学時代から学部内でも天才肌と賞賛されて、国立機関の施設へ勤めるエリートなのに、…悩みは人それぞれだったりする。
「うーん、それも分かるんだけどぁ。何ていうか…、上手くいかないもどかしさ?
大学時代は対等な付き合い…まぁ、付き合った男ぜんぶ尻に敷いてはいたけども。
社会人になって特に、仕事成果か外見で“私”を判断される気がして悔しいのよ。――真帆だってそう思う時ない?」
「…うん、時々思う」
相変わらず賑やかな店内の中で頷いた。飲みかけのコーヒーをテーブルへ置き、ふと考えてみる。
「でしょー?ようやく仕事のペース掴み始めたと思えば、プライベートは不発だわ」
勉強や仕事は初志貫徹で真面目だけど、恋愛に関しては別だと自ら豪語する瑞穂が嘆息した。