エリートなあなた


あれから2人で試作部へ戻ると、ちらほら帰ってきていた課員の忙しそうな姿を捉える。



奥に一席ある大きな課長席は、いつの間にか空席。松岡さんいわく、課長が座っている方が少ないとか。



そうしてようやく仕事に取りかかることに。といっても、私は無知の新人にすぎない。



そこで松岡さんがリーダーを務める、女性向け美容用品の開発状況の議事録作成の指示が。



専門用語を見知る機会にもなるし、秘書課で作成必須の作業ならば問題ないだろうと。



その時はじめて、デスク上にある自分専用のノートPCの電源をつけた。



起動音がフロアにとけ込むと、画面の明るさがやけに眩しい。パスワード解除して現れたトップ画面。



その隣で松岡さんは早くも、何かのデータを入力している最中だった。



「すみません、…すごく素人的意見で申し訳ないんですが、」


「え?俺も素人だけど」


「…、」


手を止めてこちらに向けられた眼差しに加えて、ニヤリと口元も笑っている。



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