エリートなあなた
「素人なりに頑張ってるのにねぇ――オレの彼女さんってイチイチ注文多いのよ」
「あ、彼女いるってのはナイショにしてね」と、しーっと口元で人差し指を立てる彼。
真顔で仕事とかけ離れたここは何を言うべきなのか、はたまた試されているのか読めない彼の表情。
――とりあえず何故かいま知ったこと。…社内で結構モテる松岡さんには、密かに彼女がいたということだけ。
「固まらないでよ。寂しいジャン」
「…すみません、」
「謝られると、もっとつき離された気分ー」
自販機スペースでの攻防だけで疲れていたのに。松岡さんという人は、色々とタフらしい。