エリートなあなた
議事録作成後も息つく間もなく、続々とデスク上へ置かれていく書類の数々。
「ねえ吉川さん」
「…はい?」
PCにかじりついてそれらを片づけていたところ、前方から声をかけられる。
「どうかされましたか?」
「あ、いや…」
手を止めて正面を見れば、向かいの席に座る3期上の遠藤さんが顔を赤らめていた。
「もう昼すぎてるし、一緒に社食どうかなーって」
確かさっきまで不在だったのに、白衣も脱いだ今はスーツ姿に変わっている彼。
視線を落として腕時計をチラリと一瞥する。正午を越えてランチの時間を示していた。
「あー…、ちょっと今日は、」
あまり話したことのない人だと、どうしても対応に困る。苦笑を浮かべて、やんわりと断りの意思をみせたが。
「あ、もちろん奢るから」
「あ、そういう訳じゃ!ただ仕事がですね」
どうやら断りの理由を手持ちがないと思われたらしい。それに奢られるのも好きじゃない。