エリートなあなた
そのまま松岡さんに連れて行かれたのは、オフィスを出て5分ほどの距離にある路地裏のお店。
細長い造りのそこはカウンターのみの小さな店内で、夜はフランス料理とワインを提供しているとか。
「――松岡さん、」
「んー、うまい。真帆ちゃんも早く食べなきゃ冷めるよ?」
運ばれて来たコーヒーとともに、中央に卵の落とされたガレットを切り分けては食べている彼。
「…はい、」
隣でパクパク食べる姿に小さく溜め息を吐き出すと、目の前の出来たてを味わうことに。
ナイフとフォークを手にして切り分けると、口へ運んでもぐもぐ咀嚼する。
「――美味しい」
「でしょー?ここお気になんだよねぇ」
トロトロのチーズにハムの塩味がいいアクセントとなり、ガレットの香ばしいところがまた食欲をそそる。
隣でニヤリと口角を上げて笑う松岡さんに頷く。確かに今まで食べたガレットの中でも一番美味しく感じた。