早河シリーズ第三幕【堕天使】
ハーブの庭園には様々な種類のハーブが植えられている。庭園に面したカフェで俊哉と莉央は午後のティータイムを過ごすことにした。
莉央はカモミールとラベンダーのブレンドティー、俊哉はコーヒーを注文する。
『少しは楽しめた?』
「とっても。これも……ありがとう」
土産物コーナーで購入したポプリが入るビニール袋を莉央は嬉しそうに胸に抱えた。
『お前そういう香りもの好きだよな。香水の舎だっけ?これ飲んだら行くか?』
河口湖ハーブ館には香水の舎と呼ばれる香水やエッセンシャルオイルが売られている施設がある。莉央はうん、と頷いてポプリの袋をバッグに大事にしまった。
『それなら4時に旅館に着ければいっか』
「でも大丈夫? 疲れてない?」
『平気。俺も久しぶりに仕事抜きでの遠出ができて楽しんでるよ』
東京から山梨まで運転してきた俊哉を気遣うが、俊哉は心配無用と言うような笑顔だった。
ティータイムの後に香水の舎に入る。館内には量り売りの香水や練り香水、キャンドル、お香などの香りのアイテムやアクセサリー、ハンカチなども販売されていた。
「この香りいい匂い」
量り売りの香水で莉央が手にしたのはハーブ館のオリジナル香水。俊哉も香りのするスティックを鼻先に近付ける。
『ホントだ。いい匂いだな。莉央っぽい匂い』
「そうかな?」
『これにする?』
「……うん」
莉央っぽい匂いと例えられたことがなんとも気恥ずかしい。莉央の選んだ香水瓶ともうひとつ別の香水瓶に注がれた同じ香水がレジに並んだ。
「あの香水二つ買うの?」
『ひとつは俺の。莉央とお揃いでつけたくなった』
俊哉は澄まし顔でさらりと甘い言葉を吐く。それが女にとってどれだけの中毒性を孕んでいるのか彼自身は知らない。
(秘書の根岸さんとお揃いの香りはもういいの? 私とお揃いの香りにしてくれるの?)
俊哉の一挙一動に心の奥がツンとして鼓動がドキドキと脈打っていた。このまま心臓がどうにかなってしまいそうだ。
(これが恋……なのかな)
莉央はカモミールとラベンダーのブレンドティー、俊哉はコーヒーを注文する。
『少しは楽しめた?』
「とっても。これも……ありがとう」
土産物コーナーで購入したポプリが入るビニール袋を莉央は嬉しそうに胸に抱えた。
『お前そういう香りもの好きだよな。香水の舎だっけ?これ飲んだら行くか?』
河口湖ハーブ館には香水の舎と呼ばれる香水やエッセンシャルオイルが売られている施設がある。莉央はうん、と頷いてポプリの袋をバッグに大事にしまった。
『それなら4時に旅館に着ければいっか』
「でも大丈夫? 疲れてない?」
『平気。俺も久しぶりに仕事抜きでの遠出ができて楽しんでるよ』
東京から山梨まで運転してきた俊哉を気遣うが、俊哉は心配無用と言うような笑顔だった。
ティータイムの後に香水の舎に入る。館内には量り売りの香水や練り香水、キャンドル、お香などの香りのアイテムやアクセサリー、ハンカチなども販売されていた。
「この香りいい匂い」
量り売りの香水で莉央が手にしたのはハーブ館のオリジナル香水。俊哉も香りのするスティックを鼻先に近付ける。
『ホントだ。いい匂いだな。莉央っぽい匂い』
「そうかな?」
『これにする?』
「……うん」
莉央っぽい匂いと例えられたことがなんとも気恥ずかしい。莉央の選んだ香水瓶ともうひとつ別の香水瓶に注がれた同じ香水がレジに並んだ。
「あの香水二つ買うの?」
『ひとつは俺の。莉央とお揃いでつけたくなった』
俊哉は澄まし顔でさらりと甘い言葉を吐く。それが女にとってどれだけの中毒性を孕んでいるのか彼自身は知らない。
(秘書の根岸さんとお揃いの香りはもういいの? 私とお揃いの香りにしてくれるの?)
俊哉の一挙一動に心の奥がツンとして鼓動がドキドキと脈打っていた。このまま心臓がどうにかなってしまいそうだ。
(これが恋……なのかな)