早河シリーズ第三幕【堕天使】
相澤会長の誕生パーティーから一夜明けた翌朝。莉央が目覚めた時に隣にいたのは俊哉ではなく、婚約者の相澤直輝だ。
ホテルのラウンジで相澤と朝食をとり、相澤が運転する車で樋口家に送り届けられた。
『では、また』
「送っていただいてありがとうございました」
相澤の車を降りた莉央の服装は昨日パーティーで着ていたワンピースではない。相澤が用意させた別の洋服だった。
新しい下着も新しい服も、相澤が女性の部下に買ってこさせた物だ。
相澤のスポーツカーが樋口邸から去る。莉央は急いで自室に戻った。
今日は金曜日で学校がある。遅刻となってしまうが今から行けば午前の最後の授業には間に合う。
相澤から与えられた服を脱いで制服に着替えているところに断りもなく俊哉が入ってきた。彼は閉めた扉を背にして立つ。
『俺と兄貴以外の男に抱かれた感想は?』
俊哉の感情の籠らない声に背筋が凍る。振り向いた莉央の目には無表情にこちらを見る俊哉が映った。
「どうしてそんなこと聞くの?」
『さぁ。どうしてだろうな』
薄ら笑いをする俊哉にさらに寒気を感じた。彼の視線を痛いほど感じながら制服に着替え、髪をといて学校のカバンを提げる。
莉央は扉の前に仁王立ちする俊哉を見上げた。
「学校、行くから」
『じゃあキスして。莉央がキスしてくれたらここから退いてやる』
「なにそれ……」
腕組みをして扉の前から退かない俊哉の無茶苦茶な要求に困り果てた。これでは駄々をこねる子供だ。
「少し……しゃがんで」
『ん。早く』
俊哉が軽く腰を屈めた。恥じらいと躊躇いを抱えて莉央は背伸びをして彼の唇に触れるだけのキスをする。
『それだけ? キスって言うのはこうするって教えただろ?』
俊哉は莉央の腰を引き寄せ、彼女の顎を持ち上げた。触れるだけでは飽き足らず、莉央の舌と俊哉の舌が互いの口の中で絡まって離れなくなる。
「……学校」
『昼から行け。学校の近くまで送ってやる』
「嘘つき…最低……! 嫌い……大……嫌い…」
キスの合間に紡がれる言葉。
ホテルのラウンジで相澤と朝食をとり、相澤が運転する車で樋口家に送り届けられた。
『では、また』
「送っていただいてありがとうございました」
相澤の車を降りた莉央の服装は昨日パーティーで着ていたワンピースではない。相澤が用意させた別の洋服だった。
新しい下着も新しい服も、相澤が女性の部下に買ってこさせた物だ。
相澤のスポーツカーが樋口邸から去る。莉央は急いで自室に戻った。
今日は金曜日で学校がある。遅刻となってしまうが今から行けば午前の最後の授業には間に合う。
相澤から与えられた服を脱いで制服に着替えているところに断りもなく俊哉が入ってきた。彼は閉めた扉を背にして立つ。
『俺と兄貴以外の男に抱かれた感想は?』
俊哉の感情の籠らない声に背筋が凍る。振り向いた莉央の目には無表情にこちらを見る俊哉が映った。
「どうしてそんなこと聞くの?」
『さぁ。どうしてだろうな』
薄ら笑いをする俊哉にさらに寒気を感じた。彼の視線を痛いほど感じながら制服に着替え、髪をといて学校のカバンを提げる。
莉央は扉の前に仁王立ちする俊哉を見上げた。
「学校、行くから」
『じゃあキスして。莉央がキスしてくれたらここから退いてやる』
「なにそれ……」
腕組みをして扉の前から退かない俊哉の無茶苦茶な要求に困り果てた。これでは駄々をこねる子供だ。
「少し……しゃがんで」
『ん。早く』
俊哉が軽く腰を屈めた。恥じらいと躊躇いを抱えて莉央は背伸びをして彼の唇に触れるだけのキスをする。
『それだけ? キスって言うのはこうするって教えただろ?』
俊哉は莉央の腰を引き寄せ、彼女の顎を持ち上げた。触れるだけでは飽き足らず、莉央の舌と俊哉の舌が互いの口の中で絡まって離れなくなる。
「……学校」
『昼から行け。学校の近くまで送ってやる』
「嘘つき…最低……! 嫌い……大……嫌い…」
キスの合間に紡がれる言葉。