Sunshine Days
「うん!旭山動物園の図鑑、優芽、あ、妹が持ってて、ちゃんと見てきたよ!」

図鑑…!

春川の妹、保育園児だよな?

「あ、れ?」

俺は笑いをこらえるのに必死だけど、もう限界。

「もう!ちゃんとした図鑑だったもん!」

むきになって言う春川がまた面白くて。

隼人いわく、俺はあんまり感情を出したりするタイプではないらしいけど、春川の前ではよく笑ったりするらしい。

まあ、そうかも。

だって春川、面白いし。

ピーンポーン

隼人…?

あいつ、やっと帰ってきたのか…

気が付けば時計は十一時前。

とっくに消灯時間は過ぎている。

「中原君、帰ってきたみたいだね、あたしも帰るね!」

そう言ってスリッパを履き直した春川を見送るため、二人でドアの方に歩いていく。

「おーい、中原、藤咲、二人いるかー?」

聞こえてきたのは、担任の教師の声。

見回り…

「春川、こっち!」

俺は春川を咄嗟に洗面所に連れ込んだ。
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