君は大人の玩具という。



「きょんちゃん…」


2人の髪が、
夜風にふんわりと揺れた。

月が雲に隠れ、
互いの姿が見えなくなったと思うと、
また牧を照らし出した。

その見開かれた綺麗な目は
僅かに潤んで、輝いていた。


もう、逃げない…。

ううん、逃がさない。

夢だったかもしれないけれど、
先生は私にそう言った。

だから、もう逃げない。


京子は牧を真っすぐに見つめた。

返事を促すように首を傾げると、
牧は困ったように小さく笑った。


「そんなに女の子がついてきたがるなんて、
 僕ってやっぱり、
 魅力的なのかなぁ~」

「そうなんでしょうね。
 不本意ではありますが」


牧は「はは」と目を細めて、
ゆっくりと立ち上がった。


「君のそんなところに、
 どれだけ救われてきたか」

「…?」


不意に牧の腕が伸びてきた。

そして、


「わっ!」


大きな胸に、すっぽりと納まっていた。


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