君は大人の玩具という。
一連の様子を遠くから見ていた干場と渚は、
やれやれと呆れ顔を浮かべつつ、
ようやく戻ってきた日常をしみじみと感じていた。
「懐かしいな、あの感じ」
「でも、なんか変わりましたよね」
「そうか?元からあんな感じだったろ」
渚はチラッと隣の干場を見て言った。
「聞きましたよ、干場さん」
「ん?」
「牧先生のために、一肌脱いだって。
高田先生のこと、脅したんでしょ?」
「べつに脅してはないよ。
それに、あんなののためじゃない」
「あんなのって…
じゃあ、千秋さんのため?」
干場は横の台に置きっぱなしになっていた
器械を抱えて言った。
「人のことばっかり気にしてると、
婚期逃すぞ」
そう言い残して、片付けに行ってしまった。
「…うそでしょ」
渚は、牧が京子を追いかける様子を見届けてから
ふっと微笑んで干場の後を追った。