君は大人の玩具という。



2人は誰もいない、
静かな通路を歩いて出口に向かった。


「で、わざわざなんですか?」

「そんなイヤそうな顔して~
 でも、ホントは嬉しい?」

「…」


京子はもう何度目かの
睨み顔で牧を見た。

だが、そんなことで臆する牧でもない。


「あはっ、かーわいい」


牧はそう言うと、
腕時計で時間を確認して言った。


「もう遅いし、送ってくがてら、
 ちょっとだけ僕とデートしない?」

「なんでですか?」

「君と行きたいところがあるんだ」

「まさか、夜景とかじゃないでしょうね」

「ピンポーン!
 さっすがきょんちゃん」

「はぁ…」


明日も仕事なんですけど…
と言いつつも、
牧が日本にいるのも残り数日。

京子は渋々OKを出して、
いつもと違う出口を出て
牧の車に乗ることにした。


< 120 / 145 >

この作品をシェア

pagetop