君は大人の玩具という。
2人は誰もいない、
静かな通路を歩いて出口に向かった。
「で、わざわざなんですか?」
「そんなイヤそうな顔して~
でも、ホントは嬉しい?」
「…」
京子はもう何度目かの
睨み顔で牧を見た。
だが、そんなことで臆する牧でもない。
「あはっ、かーわいい」
牧はそう言うと、
腕時計で時間を確認して言った。
「もう遅いし、送ってくがてら、
ちょっとだけ僕とデートしない?」
「なんでですか?」
「君と行きたいところがあるんだ」
「まさか、夜景とかじゃないでしょうね」
「ピンポーン!
さっすがきょんちゃん」
「はぁ…」
明日も仕事なんですけど…
と言いつつも、
牧が日本にいるのも残り数日。
京子は渋々OKを出して、
いつもと違う出口を出て
牧の車に乗ることにした。