君は大人の玩具という。



「一旦…
 バイバイのちゅー、する?」

「調子に乗りすぎです」


京子は夜景に満足して、
柵を押すように体を離した。

そして元来た道を戻ろうと歩き出す。


「えー」


牧が唇を尖らせて
不貞腐れているのも、
見なくてもわかる。

京子は小さく口角を上げて、
踵を返した。

そして、小走りに牧に近寄り、
その左頬に唇を当てた。


「…!」


牧が目を見開いているのを近くで見て、
クスッと笑みを残してみせた。

それから再び、駐車場に向かって歩き出すと、
牧がついてくる音が聞こえた。


「まったく…」


牧はそう言って、
困ったように笑いながら
京子の一歩後ろを歩いてきた。


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