君は大人の玩具という。



病院に到着し、
救急車を降りてからは早かった。

搬送を他のスタッフに任せて、
牧は女性と一緒にオペ室に走った。


「君、名前は?」

「千秋、京子です」

「京子ちゃんか。
 スピード勝負でいくよ。
 よろしくね」

「もちろんです」


すぐに着替えて
マスクを咥えて帽子をつけつつ
用意された部屋に2人で駆け込んだ。

すると、牧が呼んだ浅野と雅俊、
京子が呼んだ渚が揃っていた。


「ごめんね、こんな夜に」


京子が渚に言うと、
渚は「感謝してくださいね」と
後輩ながらに言った。


「昨日彼氏に振られたって言ってたから
 絶対空いてると思って」

「ちょっと?
 まあ、空いてましたけど」

「助かります。
 …あの麻酔科医誰?」

「さあ…?」


京子は急いで開胸キットを開いた。


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