君は大人の玩具という。
東都南大学病院の正門前で、
"ビッグカップル"の2人は
懐かしき病院を見上げていた。
「帰ってきましたね、無事に」
「そうだねぇ」
2人の目にかかったサングラスに
日差しがギラリと反射した。
「心なしか、病院が小さく見えるなぁ」
「先生が大きく成長されたんですよ」
「やだぁきょんちゃんったら。
僕の何が成長したって?」
「ちょっと?」
牧はクスッと肩をすくめた。
「じょーだんだよ。
…きょんちゃんもね」
「まったく」
それよりさ、と言って、
牧は正面入り口まで歩き出した。
「帰国したんだし、約束、覚えてる?」
「約束?」
京子も牧に続いた。
「帰国したら僕と、
あの夜の続きするって」
「言ってません」
「僕と結婚するって」
「言ってません!」