君は大人の玩具という。
牧は京子にぴったりと張り付いて
歩きながら言った。
「ねぇ、僕らの関係、
みんなになんて説明する?
やっぱり、恋人かなぁ?」
「関係…」
どんな困難も、共にしてきた。
色んなことを、乗り越えてきた。
同業者、仲間、友人、恋人…
牧との関係を語るには、
どんな言葉も浅く感じる。
でも、言葉にする必要なんて、
ないのかもしれない。
京子は純粋にそう思った。
「べつに、なんでもいいんじゃないですか?」
「え~、そんな寂しいこと言うの?」
「そうじゃなくて」
京子は立ち止まって牧に向き直った。
「他人には説明しきれないほど、
大切な存在ってことです」
牧は驚きつつも、
すぐに笑顔になって言った。
「うん、そうだね!
…あ、でも、一旦恋人ってことにしない?」
そう言う牧を置いて、
京子は再び歩き出した。
「戦友ぐらいでいいんじゃないですか?」
「えーもっと可愛いのにしようよ」
「可愛い関係ってなによ」
「だから恋人とかー親友とかー」
「うるさいなぁ、もう」