君は大人の玩具という。
花枝のオペ当日。
牧が選別した麻酔科医の新谷、
器械出しの京子、
外回りには干場、
MEにベテランの増山が揃った。
新谷は常に眠そうでマイペースだが、
大きな手術のときにはその小さい目を開けて
術野の様子を一切見逃さない。
増山は心外の手術に幾度となく入り、
緊急事態にも慣れた臨床工学技士だ。
それから補助の看護師が数人、
中2階からは多くの研修医や学生が見守っていた。
花枝が麻酔で眠ったところで、
手洗いを済ませた牧、浅野、荻原、
そして器械出しの京子が花枝を囲んだ。
牧が明るい声で言った。
「ではでは、皆さん準備はいいですか?」
「はーい」
と呑気な返事は新谷。
「消化器外科、牧です」
「浅野です」
「荻原です」
「麻酔科、新谷です」
「器械出し、千秋です」
「外回り、干場です。
患者紹介から、お願いします」
牧の真面目、かつ個性的な
患者紹介から、手術は始まった。