君は大人の玩具という。



京子は器械の片づけを夜勤に任せて
一足先に休憩室に入った。

飲まず食わずで約10時間。

やりきったのは、今回が初めてだった。

術中はアドレナリンが全開で
お腹も空かないし喉も乾かない。

だが、終わって気が抜けた途端
とんでもない空腹感と疲労感に襲われた。

自動販売機でミルクティーを買って
ソファにドカッと腰かけると、
同じミルクティーを持った牧が入ってきた。


「あ、やっぱりきょんちゃん、
 ミルクティー持ってた~」


突っ込む元気もなく、
京子は何も言わずミルクティーをあおった。

相当疲れているはずなのに
明るいテンションで冗談を言える牧を
色んな意味で尊敬する。


「元気ですね」

「そう?普通だよ」

「疲れてないんですか?
 私だったらいち早く帰って寝たい」

「えー、僕はきょんちゃんと寝たいなぁ」

「…元気ですよ、本当」


人間、ここまでぶれないでいられるものだろうか。


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