君は大人の玩具という。
#6.秘密
牧の家に着いて、
京子はなんとか牧を抱えて
アパートのエレベーターに乗った。
さすが。
いい所住んでらっしゃる…
まるでホテルか
高級マンションのようなデザイン。
どこもかしこも艶々で眩しい。
「着きましたよ、鍵は?先生!」
「んー…こ、れ」
財布の一部を指さすので
そこに入っていたカードキーを
ドアノブの上にかざす。
緑ランプが点灯して、
鍵が開く音がした。
京子はなんとかドアを開け、
玄関に入った瞬間に
肩に乗った牧の腕を離した。
牧がドサッと玄関に座り込む。
「じゃ、お大事に」
そう言い残して帰ろうとすると、
突然足首を掴まれた。
「え、ちょっと、なに!」
慌てて適当に壁に手をつくと、
どうやら偶然そこが電気の
スイッチだったらしい。
玄関がパッと明るくなり
その眩しさで思わず目をつぶる。
だが、どうやら牧は明かりには平気そうに、
やたら色めいた眼差しで京子を見上げた。
「きょんちゃんが、いる…」
「ッ…!」
なるほど。
道理で水商売のおなごたちに人気なわけだ。
その目は反則じゃないかな。
なんて思ってしまう京子自身も
今更酔いが回ってきたのだろうか。
何度も自分に問いかけてしまっていた。