君は大人の玩具という。



「ベッド行かないと、
 風邪ひいても知りませんよ?
 なんなら少し濡れてるんですから」


恐らく天然もののパーマに軽く触れると
雨の雫がぽたっと落ちた。

牧は今度は京子の足ではなく
長い腕を伸ばして手首を掴んできた。


「…本当はもう覚めてるんでしょ」


京子が睨みながらそう言うと、
牧は首を垂らした。

そして聞こえる、
小さくクスッと笑う声。


「今起きたのさ」

「嘘つけ」


牧は大きなため息をついてから
ふらふら、と立ち上がった。

その途端、大きな体が
ぐらりと京子めがけて倒れてきた。


「なっ!」


ドンッ
という音が耳元でしたかと思うと、
壁を背に牧の顔がすぐ目の前にあった。


「やっと、捕まえた」


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