君は大人の玩具という。



漏れる声を唇で塞がれて、
また身体の奥が痺れていく。

牧の左腕が、崩れ落ちそうな腰を支えた。

胸がぎゅんと音を立て、
京子はもう何もわからなくなってきていた。

まるで意識が、今にも飛びそうなほど。


「だめだよ…きょんちゃん」


こっちは息をするのに必死だというのに、
牧は余裕そうにキスの合間に言葉を紡いだ。


「逃げなきゃ…止められないよ」

「…逃げ、」

「…ん?」


ようやく唇が離れると、
はぁ…と吐息が漏れた。

それから、牧の顔を見上げて言った。


「もう、逃げない」


挑発的に見つめ返して見せるも、
牧は軽く目を見開いただけだった。

すぐにクス…と余裕そうなイヤな笑みに戻る。


「うん。逃がさない。
 これからもずっと、離さない」


京子はぎゅっと目を瞑り、
牧の首に両腕を回した。


もう、どうにでもなれ…。


身体がふんわりと浮いて、
やがて世界が全部、
白に染まっていくようだった…。


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